溺愛王子とヒミツな同居2




これ以上は話をしたくないという雰囲気で、大翔君は私の手を握って廊下を歩き出す。



その背中を麻生先輩の声が追いかけてくる。



「まりやちゃ~ん、またねっ」



振り向くと、麻生先輩がニコニコ笑って手を振っていた。



無視するわけにいかず、軽く頭だけを下げる。



私たちが視界から見えなくなったあとの廊下で、麻生先輩は……。



「校内一のイケメン王子、ヒロ君の彼女か……。

そんな大して可愛くもない子だろって勝手に思ってたんだけど……」



降り続いていた雨がいつの間にか止み、廊下に面した窓から差し込んでくる西日に目を細めながら、ふっと笑う。



「まさか、あんな可愛い子がうちの学校にいたとはね。

う~ん、オレもまだまだリサーチ不足♪

ちょっとだけ軽くちょっかいかけてみるかな~。暇つぶしに」



お気に入りのおもちゃを見つけた子供のような顔で、楽しそうに独り言を呟いていた。