「聞いてた通りのクールさだね。
オレはおしゃべりだってよく言われるけど、最近のイケメン人気は、ヒロ君みたいなクールなタイプなのかな」
いろいろと話しかけてくるけど、無表情で答えようとしない大翔君から視線を外して、麻生先輩は私を見下ろしてくる。
「女の子たちが、最近ヒロ君に彼女ができたって噂してたけど……キミのことか、まりやちゃん」
名前も教えてないのに、いきなり『まりやちゃん』なんて呼ばれて、無意識に顔が強張る。
そんな私の気配を感じ取って、大翔君が自分の方へと私の体を引き寄せる。
「必要以上にこいつに近付かないでくれませんか」
「あーらら。別に取って食おうってわけじゃないんだから、いいじゃない。
ちょっとおしゃべりするくらいは、許容範囲でしょ」
「友達に先輩みたいなタイプの奴いるんで、油断できないだけです」
「へぇ、そいつもしかするとオレと気が合うかもね。どんなヤツ?」
大翔君の言った友達の話に興味津々の麻生先輩は、なぜか私にその答えを求めてくる。
それに答えた方がいいのか迷っていたら、
「もういいですか。まりや、行くぞ」

