不思議そうにそれを見た大翔君に、口を開く。
「大翔君に内緒でこれを作ろうと思って、少しだけ目覚ましの時間ずらしちゃったの。
びっくりさせて、ごめんなさい」
頭を下げて謝った私に、何も言わない大翔君は、持っていたフォークを食器の上に置く。
そして、そのまま私がテーブルの上に置いたお弁当箱が入ったブルーの巾着型の袋を手に取った。
「いつも大翔君は、朝が弱いのに私のために早起きして美味しいお弁当を作ってくれるから。
私も大翔君のために、感謝の気持ちも込めて頑張って作ってみたんだけど」
「これ……まりやが俺のために作ってくれたのか?」
自信なさげに頷くと、慌てて動きだした私の口が早口でしゃべり始める。
「あの、でも……期待はしないでね?
私なりに頑張ってみたけど、見た目は悪いだろうし、大翔君の好みに合う味付けじゃないかもしれないし」
渡す前はただ喜ぶ顔が見たかっただけなのに。
今は、美味しくなかったらどうしようとか、そんなことばかりが頭の中をグルグル回る。

