「朝飯の準備してくれたんだな。サンキュ」
洗面所から戻ってきた大翔君は、テーブルの上に並ぶ朝食を見て椅子に座る。
「今日は、早く起きたから」
「もしかして、俺の目覚ましのアラームの時間ずらしたのって……」
さすが大翔君。
私がやったことはお見通しなようで、申し訳ない気持ちで手をそっと上げる。
「マジで焦った。
お前の弁当も作ってないし、今日は購買で何か買うか」
手を合わせて朝食を食べ始める大翔君。
お弁当を作ること、いくら秘密にしたかったとはいえ……
やっぱり、目覚ましの時間をずらすのはやり過ぎだったかなと、反省する。
「どうした? 食欲ないのか?」
シュンと肩を落とす私に気付いた大翔君は、心配そうに尋ねてくる。
慌てて首を横に振ると、ブルーの巾着型の袋に入ったお弁当箱をテーブルの上に静かに置いた。

