こんなこと素直に言う必要なんてないのに、気付けば私の口からは、こんな言葉が飛び出ていた。
「見惚れてたってこと?」
コクンと小さく頷くと、クスクスと笑う声が聞こえてきた。
呆れてるんじゃないかって思ってたけど、私を膝の上に乗せたままの大翔君は、そのまま抱きしめてきた。
「お前らしいよ。
まりやが覚えるまで、こうして朝からお前に近付く口実ができて、俺は嬉しいけどな」
一気に耳まで熱くなった私を大翔君は、膝の上からそっと降ろすと、洗面所へと消えていった。
ドキドキと大翔君に反応する高鳴る鼓動が大きすぎて、落ち着かせるように息を吐く。
しばらくはソファから動けなくて、大翔君が戻ってくるまでの間に落ち着くようにと、何度も深呼吸を繰り返した。

