上映時間15分前のアナウンスでシアターに入った私たちは、大翔君が予約して取ってくれた指定の席に座っていた。
「ねぇ、どうして私が観たい映画がわかったの?」
「最近ずっとこの映画が掲載された雑誌見てただろ。
だから、わかったんだよ。
それに、お前は顔や態度にすぐ出るからな」
隠してたわけじゃないけど、大翔君は本当に私のことよく見てると思う。
考えてることや思ってることがいつもすぐにバレちゃって。
でも、私が観たい映画にも嫌な顔一つせずに付き合ってくれて、本当に優しい。
「ありがとう。大翔君」
上映開始時間になり、小声でお礼を言うとスクリーンから放たれる光を受けながら、大翔君は口元を緩ませた。

