溺愛王子とヒミツな同居2




「何だよ。言えないような映画観るつもりだったのか?」



ニヤリと笑う大翔君に、ブンブン首を横に振って全否定。



「ち、違うよ。……あの、笑わない?」



「笑うかどうかは内容次第だな」



余計に言い辛い……。



でも、見栄張って他の映画観たって面白くもないし、どうしよう。



言おうかどうしようか迷ってると、大翔君は受付とは逆の方へ私の手を引いたまま歩いていく。



不思議に思って見ていると、慣れた様子で上映チケットを発券する機械を操作していく。



あっという間に手元に2枚のチケットを受け取り、私を見た大翔君はニッと笑った。



「観たい映画決まってんのに、並ぶなんて時間がもったいないだろ」



そう言って、チケットの1枚を私に渡してくれた。



何気なくチケットに目を落とすと、そこには……。



「これ……っ!」



「まりやが観たかった映画ってこれだろ? びっくりした?」



声も出せずにコクコクとただ頷くだけの私に、大翔君は嬉しそうに笑っていた。