勝手に落ち込んで、服に合わせて買った真新しいパンプスに足を通す。
「行こっか」
気を取り直して元気よく声をかけた私の左手を大翔君が掴んだ。
「……大翔君?」
「何、その格好」
「え? あ……や、やっぱり似合ってないよね……。
着替えてくる……っ」
冷たく聞こえる大翔君の声に、どこかに行ってたはずの落ち込んだ気持ちがまた戻ってきた。
何か言ってくれるかなって、少しでも期待した自分が恥ずかしい。
「何、その格好」て言われるよりも、はっきりと「似合ってない」って言われた方がよかった。
ハッキリとそれを言葉にされたわけじゃないのに、私の視界は涙で霞んでくる。
大翔君からの言葉があまりにもショックで、着替えに戻ろうと靴を脱ぎ始めた途端に、掴まれていた手をまた引っ張られる。
「どこ行く気だよ」
「どこって、着替えてくる。
私には、こんな大人っぽい格好なんて似合わないから……。
ちょっと時間かかっちゃうけど、待ってて」
何とか声を絞り出して、大翔君の手を振り切ろうとしたけど、それを許してはくれなかった。

