溺愛王子とヒミツな同居2




勝手に落ち込んで、服に合わせて買った真新しいパンプスに足を通す。



「行こっか」



気を取り直して元気よく声をかけた私の左手を大翔君が掴んだ。



「……大翔君?」



「何、その格好」



「え? あ……や、やっぱり似合ってないよね……。

着替えてくる……っ」



冷たく聞こえる大翔君の声に、どこかに行ってたはずの落ち込んだ気持ちがまた戻ってきた。



何か言ってくれるかなって、少しでも期待した自分が恥ずかしい。



「何、その格好」て言われるよりも、はっきりと「似合ってない」って言われた方がよかった。



ハッキリとそれを言葉にされたわけじゃないのに、私の視界は涙で霞んでくる。



大翔君からの言葉があまりにもショックで、着替えに戻ろうと靴を脱ぎ始めた途端に、掴まれていた手をまた引っ張られる。



「どこ行く気だよ」



「どこって、着替えてくる。

私には、こんな大人っぽい格好なんて似合わないから……。

ちょっと時間かかっちゃうけど、待ってて」



何とか声を絞り出して、大翔君の手を振り切ろうとしたけど、それを許してはくれなかった。