玄関で私を待っていた大翔君の姿が目に入ると、階段を下りながら動きを止める。
ジーンズに白の七分袖のVネックシャツ、黒の薄手のロング丈のベストを着て、黒い腕時計に細身のブレスレット
シルバーのプレート型のロゴ入りネックレスをつけて立ってる大翔君につい見惚れてしまった。
背が高いってだけでもカッコイイのに、何着ても似合うし、これからデートなんだって考えると
楽しみだった気持ちよりもドキドキした気持ちの方が上回ってくる。
大翔君に見惚れて動けずにいる私をふいに見た彼と目が合った。
私の姿を目にした途端、大翔君の目が大きく見開いたように見えた。
トントントンと残りの階段を下りて、大翔君にゆっくり近付いて見上げる。
「お待たせ、しました」
ドキドキと煩く音をたてる胸を抑えて、声をかける。
「……ああ」
短く返事を返してくれたけど、それだけで何も言ってくれない。
せっかく栞に選んでもらって、頑張ってオシャレしてみたけど、似合ってない……のかな。

