なしって、何に対してのなしなんだ……。



考えれば考えるほど、わからない。



「大翔君からデート誘ってもらったの……すごく嬉しいんだけど……」



それを聞いただけでも、ホッと安心できた。



「私が誘おうと思ってたから……。

だからね、今度の時までさっきのは取っておいてもいい?」



恥ずかしそうに俺を見上げて、自分が考えていたことを伝えてきたまりやに、一気に体が熱くなった。



そういうことか。



だから、このデートスポット特集を組んでる雑誌を見て、まりやなりに何かを考えていたんだろうと理解した。



「ダメ、かな?」



不安げに俺を見つめてくるまりやに、姿勢を正して向き直る。



「ダメじゃないけど……そうだな。

まりやがちゃんと誘ってくれるなら、いいよ」



言った途端に、表情を明るくして嬉しさを全面に表してきた。