「……い……」
「ん? なに? もう1回言って」
ソファの上で正座したまりやは、膝の上にある両手を拳にして力いっぱい握ると、うつむいた。
さすがにちょっと意地悪しすぎたかと、まりやが心配になって顔を覗き込む。
「……嫌いになんて……なれるわけないよ……っ」
覗き込んだ俺をわかってたみたいなタイミングで、勢いよく顔をあげたまりやと間近で視線がぶつかった。
ほんのりと頬を桜色に染めて、照れてるせいなのか潤んでる瞳。
間近でこんな反応されたら、俺までまりやの熱にやられそうな気がしてくる。
「じゃあ、ちゃんと言ってみろよ」
こんなことを言わなくても、まりやが俺のことを想ってくれてることくらいわかってる。
それでも、直接まりやの口から聞きたかった。

