俺が笑いだした理由がわからないまりやは、キョトンとするばかり。
「はははっ。そんな心配そうな顔しなくても」
「えぇ!? 笑うほど変なこと言ってたの!?
やだ……。お願いだから、大翔君教えてっ」
ソファの上で正座をして、眉を八の字に下げてお願いしてくる。
その必死さにまた笑いが止まらなくて、そんな俺を見ていたまりやの頬が少しずつ膨らんでいくのが横目に見える。
「ねぇ、教えて」
あまりにも俺が笑うもんだから、まりやが拗ねたように言ってきた。
こんな彼女の姿を見るのが初めてな俺は、まだ意地悪したくて、笑いを堪えながら天井を見上げる。
「どうしようかな……」
チラッと見ると、プイッと思いきり顔を逸らされる。
「まりや」
名前を呼んでみても、横を向いたまま口を利いてくれなくなった。
まりやなりの俺に対するささやかな抵抗なんだと思うとまた笑えてきた。

