溺愛王子とヒミツな同居2




体が倒れていかないように、再度肩にしっかりと腕を回すと、まりやのふっくらとした小さな唇が微かに動く。



「……ひろ……くん……っ」



寝言だとわかっていても、自分の名前を呼ばれれば、一瞬ドキッとする。



「どんな夢見てんだよ……」



可愛らしい寝言に、ひとり笑いながら無防備に眠るまりやの頬に、空いてる方の手を添える。



「寝てる時まで、俺を誘惑するなよ……まりや」



何度触れても、吸い付くような肌の感触に手のひらを滑らせながら、いい香りを放つ髪にひとつキスを落とす。



起こさないように顎に手を添えると、顔を少しだけ傾けて柔らかい唇を味わうように、深めにキスをする。



すぐに唇を離して、間近でまりやを見つめるけど、全然起きる気配がなくて、ホッとしたような、残念なような複雑な気持ちになる。



まりやを腕に抱いたまま、もう一度夏のデート特集を組んでる雑誌に目を落とす。



誘ったら、お前は喜んでくれるかな。



眠ってるまりやを見ながら、喜ぶ顔を思い浮かべてみた。