「あーぁ。オレ何やってんのかな」



まりやちゃん達と別れて、駅に向かって歩く。



約束なんて何もないのに、嘘までついて帰るなんて自分が何したいのか全然わかんないね。



自分に苦笑を送りながら、沈みかけている夕日に目を向ける。



眼鏡のレンズ越しに見る夕日は、もうすぐ消えていきそうで寂しい感じがした。



そういえば、まりやちゃんに初めて会ったのも夕暮れ時だったなぁ。



廊下でぶつかりそうになった彼女を助けてあげたっけ。



そう遠くもない思い出なのに、もう彼女と出会ってから随分経った気がする。



最初は本当に興味本位だったんだ。



オレが2年にあがってすぐの頃から、すごくカッコイイ子が入学してきたって噂が学校中に広まって。



だから、ヒロ君のことは噂で知ってた。



学年が違うし、接点もなかったから向こうはオレのことなんて知らなかっただろうけど。



オレは、来るもの拒まず去る者追わずで有名だったから、毎日女の子達と遊ぶのが楽しくて。



本気で好きになれる子なんて求めてなかった。



それどころか、本気で好きになるって感情が理解できなくて、自分でも根っからの遊び人気質なんだろうと勝手に決めつけていた。