「ヒロト君さっきから何探してるの?

私がせっかく会いにきたんだから、私のこともちゃんと見てよ」



「ちょっと黙っててくれない?

なに勘違いしてんのか知らないけど、あんたとは友達でもなんでもない。

だから、仲良くしたいならもっと他の奴当たれば?」



ちょっとイライラし始めた俺は、いつもよりも口調がキツくなる。



それに信じられないという顔をして、拳をぎゅっと握って怒りを我慢する篠原に俺は気付かない。



公園を見渡しても、まりやらしい人はいなくて、場所を移動しようとしていた。



そんな俺をまりや達が先に見つけていたなんて、俺は知らなかった。



だけど篠原からは、公園に向かって歩いてきたまりや達が見えていたようで、咄嗟に俺に抱き着いてきた。



「いきなり何すんの? 離せよ」



ぎゅっと抱き着いてくる篠原の腕を解こうとする。



「なに恥ずかしがってるの?

いいじゃない、少しくらい」



「は? いいから離せって!」



俺が少し声を荒げた時だった。



「まりやちゃん!!」



まりやの名前を呼ぶ声が聞こえて、篠原を力ずくで体から離すと、すぐに声がした方へ目を向けた。



そこには、まりやの名前を呼んで追いかける麻生先輩と、泣いてるように見えるまりやが走っていくのが見える。