麻生先輩と一緒だったと聞いて落ち着いてなんかいられない。
「ヒロト君ね、うちの学校でも人気なんだよ。
すごいイケメン高校生がいるって、女子の間で人気で。
私知ってるし話したことあるって言ったら、みんなが羨ましがって」
聞いてもいないのに、ひとりで自慢話を始める篠原。
そんな話は俺の耳には届いてなく、俺の意識を支配するのはまりや。
どこ行ったんだよ。さっきから携帯にかけても繋がらないし。
麻生先輩と一緒ってことは、家に帰ってる可能性も低いだろし。
「今度ね、学校の子に大翔君を紹介するって約束しちゃったんだぁ」
勝手に話を進める篠原の声は俺の耳にはこれっぽっちも入ってこない。
ずっと無視し続ける俺にムッとして顔を歪ませた篠原にも気付いてなかった。
と、学校近くの公園に差し掛かった時だった。
こんなところにいるわけないよな。
そう思いつつも足は公園の入り口へ。
俺が無視し続けた篠原は我慢できないと言った感じで、俺の前へ回り込んできた。

