疑いの目を向けられて、麻生先輩が「え!?」と声をあげる。
「あのさ、まりやちゃんに何かあった時にすぐにオレを疑うのやめてくれないかな。
オレはね、まりやちゃんの様子がおかしいからそれが心配で声をかけてただけなんだけど」
「様子が?」
大翔君が心配して私を見てくるけど、何も言えない。
「松っちゃん、昨日のことだけど……」
栞が言いかけた瞬間。
——キーンコーン。
タイミング悪く予鈴が鳴り、気まずい雰囲気だけが私達を包む。
授業がもうすぐ始まるから、この場は何も言わずみんな静かに教室へと戻った。
あれ以上、何も聞かれなくてよかったと内心ホッとする自分がいる。
大翔君が篠原さんに告白されたと聞いて、私の心は今までにないほど激しく動揺していた。

