カフェオレをストローで飲みながら、最初から無理だと否定する谷山君と宮内君の小さな言い合いバトルが始まろうとしてる中……。
木陰の反対側で、ドキドキしながら正座してる私は、目の前の大翔君から目が離せないでいた。
朝作って渡していたお弁当を食べてもらえる瞬間がやってきたから。
ブルーの巾着型の袋から2段になってるお弁当箱を取り出すと、大翔君の手によって蓋が開けられた。
私なりに頑張って、彩りよくできたと思うんだけど……。
お弁当のおかずをジッと見つめる大翔君に、何を言われるんだろうと緊張が走る。
ドキドキしながら待ってると、私の顔を見た。
「美味そうだな。見てるだけでも、お前の料理の腕が上がったんだなってことがわかるよ。
俺のために早起きして作ってくれて、ありがとな」
まさか、こんなふうに褒めてもらえるなんて思ってなかった私は、嬉しくて思わず泣きそうになるのをグッと堪える。
「いただきます」
一口、二口と食べて、うんうんと頷きながら大翔君が口元に笑みを零す。
それを見ただけで、美味しくできたんだってことがわかった。
喜んでもらえたと安心して、自分もお弁当を広げて食べ始めた。

