結局、俺があいあい傘を断固拒否したために、光は自然な流れで麻生先輩とあいあい傘することになった。
「何が嬉しくて男とあいあい傘しなきゃいけないんだ……」
「ん? 何か言った?」
麻生先輩の傘に入れてもらってるのに、さっきからぶつくさ文句を垂れる光。
よく言うな。さっきまで俺の傘に入れろって騒いでたのはどこのどいつだよ。
背格好がよく似ている2人は、狭そうに傘に並んで入り俺のあとを歩いてくる。
そして校門を出てすぐだった。
ピンク色の傘を差した他校の女子生徒が俺達の前に現れる。
傘で顔が隠れていて最初は誰だかわからなかったけど、その正体はすぐにわかった。
「こんにちは。お久しぶりです」
傘から顔を覗かせたのは、最近姿を見せなかった篠原だった。
「純礼……なんで……」
俺より早く反応した光は、驚きを隠せない表情で篠原を見ていた。
「光君驚きすぎだよ。
最近来られなかったのは学校の行事で忙しくてね。
私が会いにこなくて寂しかった?」
驚いて声が出ない光を想定していたように笑うと、篠原は俺に視線を移す。

