不安でドクンと音をたてる胸に手をやり、何とか声を絞りだす。



「あんなにカッコイイ人と付き合ってて自慢しないなんてもったいない。

私が彼女なら友達に自慢しちゃうのに」



本当に自慢だなんて思ったことない。



確かに大翔君は女の子が放っておかないくらい凄くカッコイイ人。



でも、私は外見で大翔君を好きになったんじゃない。



大翔君の優しさや強さ、何事に対しても自分の意見をちゃんと持ってて頼りになって。



言い出したらキリがないくらい大翔君の好きなところはいっぱい出てくるけど、隣にいられるだけでドキドキして凄く幸せで……。



だから、大翔君が彼氏だから自慢になるなんて一度も思ったことない。



「さっきから聞いてれば何?

あんたもしかして……松っちゃんのこと」



栞がそこまで言いかけて私を見ると、その先の言葉を自分の中に飲みこんでしまった。



なに……? 栞は何を言おうとしたの?



余計に不安になった私は、篠原さんを睨む栞と楽しそうに微笑む篠原さんから目が離せなかった。



「今日のところは帰ります。

ヒロト君に会えそうもないし、また日を改めて来ることにするわ」



そう言い残して、駅の方へと歩いて行ってしまった。