ハッキリと自分の気持ちを言える強さを持ってる栞は、いつもすごいなって思う。
たくさんの人を前にしても堂々としてて、本当に頼りになる自慢の親友だよ。
栞の一喝にシーンと静かになる教室に、パチパチパチと拍手が聞こえた。
「米ちゃん、カッコイイじゃん。
オレの出番なくなっちゃったし、もう言うこともないけど。
ま、オレの大事な親友のハニーちゃんをあんまイジメないでねってこと。
……オレのハニーって言えないのが、物すごく残念なんだけどねー」
今日もお洒落に制服を着崩して、私の後ろから現れた宮内君は、ボソッと小さく呟いた。
「何が言えないって?
聞こえる声でもう1回言ってみろよ」
そのまた後ろから、宮内君より少し背の高い大翔君が登校してきた。
大翔君の姿を一目捉えただけで、女子たちは顔を赤くして、キャーと小さな声で話し始める。
「え? 何が?
オレ何も言ってないけど、空耳じゃないの?」
大翔君に向かって振り向いた宮内君は、おはようの意味も込めて、ヒラヒラと手を振る。

