「藤沢ちゃん、おはよ。

今日こそは、大翔とのこと聞かせてよ」



「ねぇ、ヒロ君は2人きりの時はどんな感じなの?」



「あ、あたしもそれ知りたい!

意外に俺様だったり!?」



あることないこと好き好きに噂しだすクラスメイト達に、私はいつも何も言わずに黙ってる。



大翔君に「相手にしなくていいから」って言われてるから。



「あんたら、誰に許可取ってこの子に質問してるわけ?」



眉間に深いシワを刻んで、クラスメイト達を睨み回す栞の凄みに、みんなが一瞬怯んだのがわかった。



「そ、そういう米倉さんだって、面白がって動画撮影してたじゃない」



「そうだよ! うちらのこと言えないし」



私をかばうように盾になってくれてる栞に、今度は火の粉が飛ぶ。



申し訳ない気持ちでいっぱいになっていると、そんな気持ちも栞の声によって、一瞬で吹き飛んでしまった。



「お前らと一緒にすんな。

あたしがやってたのは、この子たちの気持ちがやっと通じ合って付き合いだしたのを、祝福してやってんだよ。

あんた達みたいに興味本位とか面白半分でやってるのと訳が違うんだから、そこんとこ間違えんな!」