「大翔君は優しすぎるよ。
そんなこと言うと、いっぱい迷惑かけていっぱい困らせることになっちゃうよ」
ぎゅっと抱きしめ返した私に、大翔君が頭上で小さく笑ったのがわかった。
「いいよ。全部受け止めるって言っただろ。
だから、遠慮なく頼って甘えろ。
まりやだけの特権だから」
「うん、ありがと」
大翔君がいてくれてよかった。
私ひとりだったら、すぐ不安になって悩んでた。
支えてくれる人がいるって、本当に心強い。
麻生先輩のことで、お互い思ってることを再確認できた翌日。
「やっほ~! まりやちゃん」
大翔君と2人で中庭でお弁当を広げていたところに、その人はまた現れた。
「2人でお昼なんてラブラブだねぇ」
「…………」
完全無視の大翔君にはお構いなしで、麻生先輩は私に近付いてくる。

