「ね、本気で考えてみてよ。
まりやちゃんなら、オレのお気に入りナンバー1にしてあげるからさ。
悪い話じゃないでしょ? もっと他の男に目を向けなきゃもったいないよ?」
呆然として声も出ない私に、静かに近付いてきた麻生先輩は、私の顔を覗き込んできた。
それに驚いて、反射的に距離を取る私の腕を掴んでくる。
な、何……?
「そんな逃げることないじゃん。
オレにお気に入りされるなんて、そうあることじゃないよ?
ヒロ君より、まりやちゃんを好きになる自信あるしね」
言いながら空いた距離を縮めてくる麻生先輩に、大翔君が言っていた言葉を思い出す。
『女にはかなり手が早いって、うちの学校じゃ有名な人』
『彼氏がいる女にまで平気で手を出すって聞いたことある』
『もっと危機感もってくれないと、俺の心臓いくつあっても足りない』
ドクドクと心臓が嫌な音を立てる。
大翔君が言ってたことは、こういうことだったんだと初めて自覚する。
「オレが遊んでる女の子達のナンバー1になれるって、まりやちゃんくらいだよ」
大翔君が言ってた言葉達が頭の中をグルグル回って、もう麻生先輩の声は私の耳に入ってこない。

