大翔君も私に初めてお弁当を作った時、こんな気持ちだったのかなと思うと、胸が急に苦しくなる。
「そっか、まりやが俺のために作ってくれたのか。
……ヤバい……何かすげー嬉しい……」
私の不安な気持ちを吹き飛ばすように、大翔君の声が耳に入ってくる。
「本当?」
「ああ。基本的に、俺は自分で作ったりする方だったから、誰かのために弁当を作るのはまりやが初めてだった。
逆に作ってもらうことなんて、小学生以来ほとんどなかったから。
けど、好きな奴が俺のこと想って作ってくれたんだと思うと、すげー嬉しいよ」
トクン、と小さく私の鼓動が音を立てる。
じんわりと体中に広がる温かさはきっと、大翔君から流れ込んでくるものなんだと思う。
「よかった。いつも私のために、美味しいお弁当作ってくれてありがとう」
ちゃんと言葉にして言ったこと、あまりなかったから、言えてよかった。
「そんなこと気にしなくていいんだぞ。
俺は、お前が喜んで食べてくれるだけでいいんだから」
あ、同じだ。
大翔君も私と同じことを考えて作ってくれてるんだって知れただけで、また心が温かくなる。

