俺たちには、いわゆる

“好きです”とか“付き合って下さい”とかいうやりとりがない




「離れるのが不安なんだっけ?」

「…………うん」


当然“付き合った記念日”みたいなものもない



「………なあ、おにぎりの約束、あるだろ」

「え?」



だから、始まりが分からない




「3年前に、高校生活の間はおにぎり作るって言ったろ」

「あー……うん」



でも、そんなもん必要か?



「もうすぐで3年間が終わるな」

「そう、だね」




目を開けたら、思ったより眩しくなかった


「春からは、4年間朝飯も作れ」

「…………」


眩しくないのは、芽衣子の顔があるから


「春が無理なら、夏でもいいけど」

「……朝ご飯?」


そう。毎日の朝ご飯


「一緒に住むんだ」

「………でも、」


「オヤジさんには俺から話す。
どうせほとんどいないんだ。ダメとは言わないだろ」


「………………」

ポタ


「バイト頑張るし」


ポタ


「芽衣子もそうしたいだろ?」




気づいたら


いつもお前は


隣にいたな