ある男子高校生の恋愛事情【三井編】



「今日は唐揚げなんだけど、下味漬けるのに時間が必要で……」

…………

「慎吾?」

ハッ

「あ、なに?」

「……少し時間かかるけどいい?」


なんだ、そっちか


「ああ、待つ」

「どうかした?」


「別に」


パタパタと台所に行った


ソファに座ってクッションを胸の前に置いた

何かを握ってなければ耐えられなかった


目を閉じて
クッションを握っていれば

いつか時間が来る


それまで耐えろ



「……んご」

「慎吾ってば」



………え?


「出来たよ」

「なにが?」


「ご飯」



あ、ご飯か


「……食べないの?」

「あーうん、食べるよ」


……………

……………


「おいしくなかった?」

……………


「慎吾っ!!」


………芽衣子が何か言ってるけど、よく分かんねえ



「もー怒った」