目線を下げたら芽衣子が
真っ赤な顔して
肩を上下させながら息をしてた
あ、やばい
またやってしまった
「悪い。やり過ぎた。速すぎたか?」
俺には大した距離じゃなかったが、芽衣子にしてみればマラソンみたいなもんだ
まずい。酸欠になってしまう
カバンからペットボトルを出して「これ飲め」と渡した
飲み終わってから、背中をさすった
「落ち着いたか?」
首を縦に振ったのでホッとした
なんだか最近、俺って芽衣子に謝ってばかりだな
「芽衣子、明日からご飯いらない」
「え?」
「俺、夢中になるとつい調子に乗るんだ」
それで、いつも後悔する
「だから、もうご飯作らなくていい」
…………それがいい
電車の扉が開いた
「着いたぞ。降りよう」

