ある男子高校生の恋愛事情【三井編】


ベルと同時に帰る支度して

芽衣子のいる教室まで走った


「芽衣子!帰るぞ」

今からなら2時間バスケできる


「待ってよー走らないで」


遅い



ほら、と手のひらを掴んだ

「え?」

「全力は我慢してやるから、ついてこい」



いつもより少しだけスピード落として

芽衣子がついてこれるように


でも

顔は前だけを向いて


走った




走って、走って

駅に着いて


それでも、まだ走る

改札抜けて

階段を駆け上がって


発車のベルが鳴る


ーー間に合えっ!



先に俺が電車に入ってから

芽衣子の手をグイと引っ張って

「わあっ!」


後ろを振り向いて

芽衣子を受けとめれば


プシューっと電車の扉が閉まった



「よし。間に合った」