キキィィイという耳障りなブレーキ音が響いて。

私の視線は宙へ向けられた。
朝の太陽がギラギラと輝いている。
目が眩んだ。
頭に血が上る。

私の足が地面についた。
…私、生きてる?

「あれ?」

生きてる…んだ。
何がどうなったのかわからないけど、とりあえず助かってよかった。

「ダイジョウブですか?」
「ひゃあっ⁈」

気づいたら、私の後ろに人が立っていた。全然気づかなかったよ…。

「そんなにオドロキますか?」
「す、すみません」

だ、誰だろう、この人…。
明らかにおかしい人っぽい。
ストライプのシャツに、ドッド柄で膝丈のズボンに深緑の靴下…。
シャツの上に暗い茶色のコートらしきものを羽織ってる。

「ケガはないですか?」
「だ、大丈夫ですっ…」
「そうですか。では」

その人は建物の影に姿を消した。