見つめ合う時間がこんなに愛しいものなんだって、久々に実感した。
年の差なんて感じないくらい。
「こんなおばちゃんでホントにいいの?」
「なつみさんがいいんです。」
「ほら、黒木くんカッコいいし、女の子達にモテるでしょ?」
「俺にはなつみさんしかいません。」
くぅ…
思わず顔を背け、悶えていると…
ーーーーーーグッ、
グッと引き寄せられる。
高校生とは思えないくらい、厚い胸板にドキッとする。
「黒木くんっ…ありがとう。」
「え?」
「私みたいな子持ち…好きになってくれて。」
「なつみさんだから、好きになったんです。」
あったかい囁きが胸に染みる。
「なつみさん。」
「ん?」
「俺のなつみさん。」
耳元で嬉しそうにそう呼ぶ彼を…私は大切にしよう、心からそう思った。
しばらくの間、ぎゅっと抱き締めあっていた。
そして、ふと我慢出来なくなった彼は、少し体を離して私にうるっとした眼差しを向けた。
「どうしたの?」
「キス、したい。ダメ?なつみさん。」
うぐっ。。律儀にキスの許可を求めるなんて…なんて真面目な子っ。
そんな可愛くおねだりされてダメなんて言えないよぉ。
私が微笑み頷くと、可愛いおねだりとは裏腹にそこは若い盛りの男子高校生。
「んっ……ハァ……ッ。。」
がっつくようなキス。
でも、ただがっつくだけじゃないのが、彼のいいところ。
途中、酸欠気味の私を気遣ってか…
「ん…なつみさん、可愛い…たまんない。」
なんて赤い顔の私に囁く。
そんな彼にまた私はたまらなくなる。
あれ?何か慣れてる?なんて感じたけど、
少し乱暴に押し倒され、余裕のない顔で見下ろされるとそれが気のせいだって分かる。
「なつみさん…俺、
抑えてるつもりなんですけど…」
そう言って、私のTシャツの裾から少し手を滑り込ませた。
いいの?いやいや、でも…なんて、私も考えを巡らせていると…
~♪~♪~♪~
「もしもし?」
「あ、センパイ?だいぶ時間経ったんすけど、どうなりました?」
「あ、あぁ、もう帰ってきて大丈夫。」
「あ、まぢすか。了解でーす。」
と、寝転んだまま電話口から漏れ聞こえる先輩と後輩の会話を聞いていた。
電話を切った彼が私に再び覆い被さる。
そんな彼に私はいじわるな笑みで…
「フフ…当分、おあずけね?」
「なつみさぁん。。」
ーーーーーチュッ。
「これで我慢して?」
「ずるいです、なつみさん。。」
悔しそうに眉を下げる彼にもう一度、キスをした。
そこには女の私がいた。
女であり、母親である私。
どちらを選ぶ?
そんなの決まってる。
「何ニヤケてんの?母ちゃん。」
「んー?いや、私って幸せだなぁって。」
「なつみさん、俺も幸せです。」
「お2人さん、ホントにラブラブだね。」
女の人生も、母親の人生も、一度きり。
どっちも選ばなきゃ、損でしょ?
end*



