おねいさんについて

「女の人をこんな遅くまで引き止めちゃあよくないですよね」

奏多の誘惑を華麗に躱して、孔雀は立ち上がる。

寧ろ本気になってしまったのは、奏多の方だった。

「だ、だったら!」

彼女は巾着袋の中から、自分の部屋の鍵を取り出す。

「私、いつでも待ってるから!」

「…こんなもの僕に渡して、奏多さんどうやって部屋に入るんですか?」

「スペアキー持ってるから大丈夫」

「じゃあ…」

孔雀は悪戯っぽく微笑む。

「奏多さんが寝ている時に、僕がこの鍵でこっそり忍び込んだらどうするんですか?」