そして午後6時前。

夫である康介さんが勤めている会社付近。そこにはもう既に茜がいた。


「はえーな。来んの」

「うるせー」

茜はそう言ってあんパンと牛乳を俺に渡した。

「…またか」

「張り込みと言ったらだろーが」

茜は張り込みの際はいつもあんパンと牛乳を常備している。

変なところで影響を受けやすいやつというか…


「掴み所のねぇ女だぜ」

「悪かったな。…おい、旦那。出てきたぞ」

「尾行開始だな」