取引相手の朝達がいる、控え室14番室前。下らないことを考えていても仕方がない。黒江が来るまでは話にならないのだが、良い報告があるので先に入っておこうと思い立った。
「待たせたな、朝達」
旧友に会うくらいの軽いノリで控え室に入る。ノックなど無用。どうせ奴しかいないのだから。
「そう思うのなら少しくらい遠慮を見せたらどうだ?ノックの1つでも」
朝から嫌味とは、性格の悪いこと。
「今回は良い仕事を持ってきてやったんだがな。いらんのか?」
捜索協力と、囮捜査。どちらにせよ、命に関わるような大きな仕事ではない。安請け合いさえしてくれれば、こちらとて何の問題もない。が、朝達の事だ、これでもきっと大きな金を要求するに違いない。大きく見積もっても三件で50万も出せれば良い方だ。
コンコンコン。軽いノックが部屋に響く。そろそろ黒江の登場か。
「失礼します。今回の案件は三件です。原野奈々ちゃんの捜索願が出ているので、彼女の捜索を」
黒江は丁寧に一枚ずつ書類を置きながら詳細を説明する。年齢・案件内容は書類を見れば一発だ。時間と労力の無駄遣いに値する。
「二件目がこちらの最近有名な裏カジノの依頼です。こちらは恐喝等の多発化が問題視されていますので、囮捜査と現場への突入、星の確保の協力です。それと最後になりますが、三件目。こちらも囮捜査です。こっちはスリの被害ですので、貴重品は今から気を付けていてください」
説明が終わると、自分の仕事はこれで終わりだと言わんばかりに息を吐いた。朝達と言えば、面倒なことに全ての書類に、それぞれの案件の要点を纏めている。そんなことをしたって、意味のない。いつもなら丁端に綴られる朝達の字も、今日に至っては乱雑にそれを記そうとしている。
「今日はやけに急いでいるな」
短刀に言ったところで奴の耳には入らない。俺の言っていることはどうせながら無視されるのだ。これはいつもの事だ。俺や黒江の言葉には一切と言っていいほど耳を貸そうとしない。まぁ、それで良い。無駄な話でもして、あいつと話す方が時間の無駄で心労が溜まるだけだ。
「それはこっちの台詞だ。何で今日に限って、案件の詳細書のままなんだ?いつもなら黒江さんが依頼書にまでしてくれてるだろ?何を焦ってた?」
無駄な話に繋がっちまった。するりと視線を時計に向ける。針は10時に差し掛かるほんの10分ほど前。いつもなら13時を過ぎても姿を現そうとしないやつが、逆に何故今日に限ってこんなにも速いのだ?
「すみません。こちらのミスです。今度からは案件書が来たときに依頼書を作らせてもらいますね」
何を頭を下げてるんだ。ここで、意地を張って下手な事を言うよりは良いのかも知れないが。
「まぁ、わかった。今回はこの三件で良いんだな?」
あぁ、と短く返事をしたものの、朝達から報酬の話は一切となかった。
「待たせたな、朝達」
旧友に会うくらいの軽いノリで控え室に入る。ノックなど無用。どうせ奴しかいないのだから。
「そう思うのなら少しくらい遠慮を見せたらどうだ?ノックの1つでも」
朝から嫌味とは、性格の悪いこと。
「今回は良い仕事を持ってきてやったんだがな。いらんのか?」
捜索協力と、囮捜査。どちらにせよ、命に関わるような大きな仕事ではない。安請け合いさえしてくれれば、こちらとて何の問題もない。が、朝達の事だ、これでもきっと大きな金を要求するに違いない。大きく見積もっても三件で50万も出せれば良い方だ。
コンコンコン。軽いノックが部屋に響く。そろそろ黒江の登場か。
「失礼します。今回の案件は三件です。原野奈々ちゃんの捜索願が出ているので、彼女の捜索を」
黒江は丁寧に一枚ずつ書類を置きながら詳細を説明する。年齢・案件内容は書類を見れば一発だ。時間と労力の無駄遣いに値する。
「二件目がこちらの最近有名な裏カジノの依頼です。こちらは恐喝等の多発化が問題視されていますので、囮捜査と現場への突入、星の確保の協力です。それと最後になりますが、三件目。こちらも囮捜査です。こっちはスリの被害ですので、貴重品は今から気を付けていてください」
説明が終わると、自分の仕事はこれで終わりだと言わんばかりに息を吐いた。朝達と言えば、面倒なことに全ての書類に、それぞれの案件の要点を纏めている。そんなことをしたって、意味のない。いつもなら丁端に綴られる朝達の字も、今日に至っては乱雑にそれを記そうとしている。
「今日はやけに急いでいるな」
短刀に言ったところで奴の耳には入らない。俺の言っていることはどうせながら無視されるのだ。これはいつもの事だ。俺や黒江の言葉には一切と言っていいほど耳を貸そうとしない。まぁ、それで良い。無駄な話でもして、あいつと話す方が時間の無駄で心労が溜まるだけだ。
「それはこっちの台詞だ。何で今日に限って、案件の詳細書のままなんだ?いつもなら黒江さんが依頼書にまでしてくれてるだろ?何を焦ってた?」
無駄な話に繋がっちまった。するりと視線を時計に向ける。針は10時に差し掛かるほんの10分ほど前。いつもなら13時を過ぎても姿を現そうとしないやつが、逆に何故今日に限ってこんなにも速いのだ?
「すみません。こちらのミスです。今度からは案件書が来たときに依頼書を作らせてもらいますね」
何を頭を下げてるんだ。ここで、意地を張って下手な事を言うよりは良いのかも知れないが。
「まぁ、わかった。今回はこの三件で良いんだな?」
あぁ、と短く返事をしたものの、朝達から報酬の話は一切となかった。


