私たちの出会いは唐突で、偶然で、そして必然の出会いだったのかもしれない。


体が凍りつくような寒さ、自分の白い息が良く見える。
悴む手でゆっくりと自転車を押していく。
現在2月12日、朝7時30分。
学校に登校するのは、何カ月ぶりだろうか。
特に変わった雰囲気はなくいつもと変わらず
生徒たちは元気に登校してきている。
私は、若野 貴理(わかの きり)
大きな病気を持っていて手術をしていた為学校に来るのは約4カ月ぶりとなる。
体が弱いこと以外では、至って普通の女の子である。

『あ!!貴理!やっと学校来れるようになってよかったね。』

高くよく耳に通る声で声をかけてくる小柄なポニーテールの女の子。
八城 麗(やしろ れい)だ。

「おはよう、麗。うん、まぁよかった?のかな。

『よかったんだよ!あたしに会えたのだから!』

麗はそういうと胸を力強く叩き、二カッと笑った。

「それもそうだね。来れてよかったよ」


『ん?なんか今日は妙に素直だなぁ、なんかいいことあったの?』

くりっと丸い目を大きく開く。何か質問をするときはこの仕草が癖らしい。
本人は気付いてないようだが…。

「いや、特にないけど?いつもこんなのだよ。」

『そうかぁ?まぁいいや。じゃまたあとで!」

そういうと走って部活の朝練に向かって行ってしまった。
私は先ほどと変わらないスピードで一人
通学路をゆっくりと自転車を押しながら歩いて行った。