志乃「……お待たせ~…………」
重い足取りで沖田の元へと向かう
沖田は待ちくたびれたのか、畳の上で座って、ぼーっとしていた
怒ってるかなぁ……。なにせもう1時間は夕に超えているだろう
着物を見られることの気恥ずかしさと、とんでもなく時間が経ってしまったことのちょびーっとだけの罪悪感とが入り交じって、気まずい
志乃「……あのぉ~……。遅れて申し訳ないです~…………。」
沖田のそばまで寄って、言った。
沖田「遅いです~……っ????!!!」
沖田は目を真ん丸くした
沖田「……あの……。つかぬことをお聞きしたいのですが……」
志乃「なんでしょう」
沖田「…………あなた、志乃さんですか?」
志乃「いかにも」
沖田「…………………………」
これはやばい。やばいだろ、と沖田。
元々すごく整っている顔だから、美少年、と思っていたけれど……
志乃「……なんッスか。ジロジロ見ないでください。腐ります。」
……やはり目の前の女人は志乃だった
沖田「化けたもんですね~」
志乃「フアッキュー」
梢「そやろー?もーびっくりやろー?」
いつの間に梢さん?!
ほっぺたに手を当てて、あたしを満足げに見ているご様子
沖田「では。ここに置いときますね」
そう言って銭を出そうとする沖田を、梢さんがとめた
梢「ええんよ!むしろあたしのほうが感謝してるんよ?……それはあたしの気持ちやで!黙って受け取っとって!」
なんとなく腑に落ちない感じだったけど、沖田は「ありがとうございます」、とだけ言うと、先を行ってしまった
志乃「……置いてかれた……」
梢「……ふふふ。ちゃうんよ、志乃はんがえらい可愛らしいで困ってはるんよ」
そんなわけない、と言いたかったが辞めておいた。
否定したら、また梢さんに睨まれそうだったから


