志乃「……あたしも」
あたしもそうだと言いたい。
でも、おばさんはこの世界にはいない。何処を探しても、いない。
志乃「あたしも……そう思いたいな」
人生で、数回目の嘘をついた。
半分だけ、嘘の混じった言葉。
ほんとうは逆なの。思いたくないの。
あたしは、これ以上関わってはいけない。
これ以上……触れてしまってはいけないの。
じゃなきゃ、もう戻れなくなってしまう……
大切な人は、つくってはいけない。
大切な分だけ、別れが辛い。
もう二度とあんな思いはしたくないから。
だから、いつも一人で生きてきた。
永遠なんて信じられないあたしが、突然の、前触れもなく訪れる波に。
突然の別れに、あたしが耐えられるように。


