近藤さんは、ほんとうに彼女を巻きこむつもりでいるのだろうか。
そんなこと……
………………させない。
今ならまだ間に合うはずだ。
血にまみれた人間には、血で血を洗うことしか、残された道はない。
たった一突きで、これまで進んでいた、
あるいは進めたであろう命がとまる。
それはあまりにも儚すぎて、あっという間で……。
刀は使いたくないと言った志乃。
自分たちの持っているそれは、魂であり、誇りでもある。
武士の魂とうたわれるのは、沢山の命を奪うから─。
自分が殺めた者と共に生きる。
だからこそ武士は、刀を自らの魂だと言う。
沖田「私は、もう戻るには遅すぎます。」
見上げた空は、どこまでも蒼く─。
しかし、自分達には見上げる資格など、ない。
立ち止まる事は、許されない。
だから
だからせめて、私達のようにはならないで。
自ら殺めた亡霊達は、一生、まとわりつくのです。
虚ろな目で。
狂気に歪んだ目で。
憎しみの目で。
悲しみの目で。
哀れみの目で。
沖田「今なら、まだ……」
見上げることを許されないと分かってはいても、私は、立ち止まってしまう。
どうしようもなくて。
こんなどう仕様もない自分にも、希望とか、未来とか、夢と言われるものを、信じてしまう。
持ってしまう。
それが、残された人々の使命で。
人の性(さが)で。
志乃さん。
あなたは、私達の希望になりつつあるのですよ。
────────────────


