ー沖田sideー
一体この質屋に来てから何刻経っただろう……
沖田「(遅いです……)」
早く甘味処に行きたいのに……
お店の中の畳の上に腰をかけて、はぁ、と小さくため息をついた
それよりも、先ほどの言葉が、どうしても頭から離れない。
──『この子には、幸せになってほしい……』
いつかの姉上の言葉と重なる。
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『……総ちゃんは……それでほんとうに幸せになれるの…………?』
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人を斬ることに躊躇いの心を忘れたのは、一体いつからだろうか。
はじめてひとをきったあの日、自分のなかですーっと、風を通したようにそら寒さを感じたことを、昨日のことのように覚えている。
誰かの人生を終わらせることの重さを、私はあの瞬間悟ったのだ。
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──土方『……総司……お前は悪くない。……悪いのはこの時代だ……。だから自分を責めるんじゃねぇよ……』
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もう、前の自分には戻れない。
嫌でもそう思えて。
鮮明に蘇る、自らが殺した亡骸達。


