志ーこころー 【前編】─完─





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それはおばさんと同じ名前だよ






こんな偶然あるんだ。







梢「さっ!さっ!志乃はんこちらへどーぞぉ〜」ニコニコ




え?なに?なにがはじまるの??





志乃「いや、あの、どーするんですか?!」






梢姉さんに、強引に背中を押される。




梢「つべこべ言わんとはよぅ行くんどす!
沖田はん、少しの間この子借りますね〜」






え、待て待て。




なんか嫌な予感しかしないんですけども……?







沖田に助けてと、目で訴える。







……が








沖田「どーぞどーぞー!お好きなだけどーぞ〜」ニコニコ




沖田はにっこにこで、そりゃもう満面の笑みであたしと梢姉さんに手を振った。






てめぇ……人をもってけどろぼーみたいな扱いしやがって……





そもそもあいつに助けを求めたあたしが馬鹿だったよ!!





あの満面の笑み……





完っっ全に楽しんでるよねっ!!ほんとっ!!







若干嫌味のこもった笑顔に見送られつつ、あたしは沖田に思いっきり恨みを込めて






志乃「後で覚えてろよ〜〜〜!!!!!」






と、捨てぜりふを吐いた。








梢「さぁ、行くでぇ〜!!!!」



そしてあたしは、どこからそんな力が湧いてくるのか、梢姉さんによってひょいと持ち上げられた。





もはや誘拐。





梢姉さんのその意味深な笑顔が、あたしにへんな恐怖を与える。






梢「さぁ、お嬢はん!綺麗にしましょなぁ〜???」ニッコリ







─コクコクッ!!!






そんなあたしは、ひたすら頷くことしか出来なかった。




































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梢「さぁ、どんな色のお着物がええやろなぁ」




うーん、と悩む梢姉さん。





志乃「……なんでもいいですよ。


あんまり綺麗な物だと着る機会とかないし……


汚したら勿体無いですし……」




しどろもどろで言うあたし。



だってさ、だってさ、大切に着ないとお着物ってすぐダメになっちゃうもん。





それに安いっていっても高価なものには変わりないし……






梢「あ」






志乃「え」






気の抜けた梢姉さんの声に、あたしまで気の抜けた声を出してしまった。





なんだかやな予感……。





でも、ここは平静を装って。







志乃「…………どうしたんですか?」









梢姉さんは、あたしの方を振り返って、なにやら意味深な笑みを浮かべた。




その笑い方は、はっとするほどおばさんに似ていた。









梢「……お嬢はん、あんさん、組の皆さんが、大好きでっか?」




そう言って、ジリジリと迫る梢姉さん。





後ずさるあたしにも、とうとう限界が。





背中には壁。正面には、にこにこと嬉しそうに笑う梢姉さん。






なに、なんなんだ??!






一体なにがおきるんだ???!!!!










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