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梢
それはおばさんと同じ名前だよ
こんな偶然あるんだ。
梢「さっ!さっ!志乃はんこちらへどーぞぉ〜」ニコニコ
え?なに?なにがはじまるの??
志乃「いや、あの、どーするんですか?!」
梢姉さんに、強引に背中を押される。
梢「つべこべ言わんとはよぅ行くんどす!
沖田はん、少しの間この子借りますね〜」
え、待て待て。
なんか嫌な予感しかしないんですけども……?
沖田に助けてと、目で訴える。
……が
沖田「どーぞどーぞー!お好きなだけどーぞ〜」ニコニコ
沖田はにっこにこで、そりゃもう満面の笑みであたしと梢姉さんに手を振った。
てめぇ……人をもってけどろぼーみたいな扱いしやがって……
そもそもあいつに助けを求めたあたしが馬鹿だったよ!!
あの満面の笑み……
完っっ全に楽しんでるよねっ!!ほんとっ!!
若干嫌味のこもった笑顔に見送られつつ、あたしは沖田に思いっきり恨みを込めて
志乃「後で覚えてろよ〜〜〜!!!!!」
と、捨てぜりふを吐いた。
梢「さぁ、行くでぇ〜!!!!」
そしてあたしは、どこからそんな力が湧いてくるのか、梢姉さんによってひょいと持ち上げられた。
もはや誘拐。
梢姉さんのその意味深な笑顔が、あたしにへんな恐怖を与える。
梢「さぁ、お嬢はん!綺麗にしましょなぁ〜???」ニッコリ
─コクコクッ!!!
そんなあたしは、ひたすら頷くことしか出来なかった。
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梢「さぁ、どんな色のお着物がええやろなぁ」
うーん、と悩む梢姉さん。
志乃「……なんでもいいですよ。
あんまり綺麗な物だと着る機会とかないし……
汚したら勿体無いですし……」
しどろもどろで言うあたし。
だってさ、だってさ、大切に着ないとお着物ってすぐダメになっちゃうもん。
それに安いっていっても高価なものには変わりないし……
梢「あ」
志乃「え」
気の抜けた梢姉さんの声に、あたしまで気の抜けた声を出してしまった。
なんだかやな予感……。
でも、ここは平静を装って。
志乃「…………どうしたんですか?」
梢姉さんは、あたしの方を振り返って、なにやら意味深な笑みを浮かべた。
その笑い方は、はっとするほどおばさんに似ていた。
梢「……お嬢はん、あんさん、組の皆さんが、大好きでっか?」
そう言って、ジリジリと迫る梢姉さん。
後ずさるあたしにも、とうとう限界が。
背中には壁。正面には、にこにこと嬉しそうに笑う梢姉さん。
なに、なんなんだ??!
一体なにがおきるんだ???!!!!
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