志ーこころー 【前編】─完─



あたしは黙って首を横に振った




女将さん「……!!!!ほな、どういう……?!」




あたしは、女将さん……ううん、おばさんに言った。




志乃「あたし、幸せ者だよ?



いきなりひょっこり出てきたあたしに、近藤さんは、“仲間になってくれ”って、言ってくれたんだ。」



嬉しかった。ただ、単純に。




真っ暗闇の中で、ひたすら心を閉ざしてきたあたしに放った、近藤さんのその一言。




たった一言だけど、それはとても優しく、強烈で。



あたしは、救われた気がした。




人間という生き物に絶望し、恐怖心しか抱けなかったあたし。





そんなあたしを、いとも簡単に孤独から引っ張り出して、仲間”という居場所をくれた。







だから、と、あたしは続ける。





志乃「あたしは、その仲間と共に生きたい。あたしの存在意義を、見出してくれた
、近藤さんの愛する組を……。


だから、壊させやしない。誰にも。



誰の血も流すことなく、あたしはみんなと駆け抜けたい。」











あの時代で










あたしは、人の死をうんざりするくらい見てきた。




誰も殺させやしない。あたしも死なない。





それが、あたしの生きる糧。希望。望。





そして、約束だから。







女将さん「…………。」





女将さんは呆然としつつも、少しずつ顔に色が戻ってきた





沖田は……。大体予想はしてたけど




その表情は険しかった。











沢山の人の命を殺めてきた奴の表情


……そんな沖田の顔がいつまでも、あたしの脳裏に焼き付いて離れなかった。