ー沖田sideー



沖田「……ッハァッ…………化けものですか、あなたは…………!!ハァ……」



肩で息をしなければ体力が持ちそうにない

かれこれもう30分ほど経っているだろう



自分はこんなにも体力に限界が来ているというのに

彼女は涼しい顔で汗一つかいていない

志乃「案外当たってるかもよ……それ」ニヤリ



不敵に笑ったかと思うと



ードカッ!!


沖田「……???!!!!……ヴッッ……!!」




背中に物凄い衝撃を受けた刹那、鋭い痛みと鈍く広がるような痛みが襲った

沖田「(いつの間に……背後にまわられたんだ……?)」


そう思ったのもつかの間、すぐに志乃からの攻撃をくらう




左腕を捕まれた、と思うや否や、そのまま身体を持ち上げられ、場外まで飛ばされた。


とっさに出来うる限りでの受身をとり体勢を整えた。

志乃を見据える





それにしても……





なんて強さだ……



志乃さんの細い体から出ているなんて思えない


それに……








攻撃をかわすその姿でさえも絵になってしまうので困ってしまう



真っ白な肌に墨を流した様なその黒髪と、紅く大きな宝石のような目に見つめられると鼓動が大きく脈打つ



攻撃を繰り出すたびに手触りの良さそうなサラサラの髪が揺れ動く



負けたくない思いと、彼女に見とれてしまう思いの両方があって



中々勝負に決着がつかない




沖田「(集中しろ……彼女は敵、倒すべき敵……)」






志乃「もう音をあげたのか?沖田」


いつの間にそこにいたのか、彼女は僕の目の前に立っていた



志乃「……ほら」



そう言って手を差し伸べてきた




沖田「…………?!まだ決着は……」

そう言うと志乃はなんとも怠そうに答えた


志乃「野次馬が増えてきちゃってさ……ほら。」

ほら、と親指で後ろを指す


……なんだこれは……



今まで気づかなかったが、この道場には他の隊士たちがワラワラと大集合していたのだ




志乃「これじゃああたしが嫌なんだよ。
……なんか因われた宇宙人って感じ……」



宇宙人??なんのことなのかはわからないがきっと見せ物のような気分、とでも言いたいのだろう


沖田「そうですね。……これじゃあ集中できるもんも出来ませんね」



志乃「この試合はお預けだ。」


そう言って、ふいに彼女は優しく微笑んだ