次は沖田から仕掛けてきた



あたしの隙を突こうと攻撃を繰り返す


それを流れるようにかわしてゆくあたし……








平助「……すごい……」



他の隊士たちも集まってきた


そして二人の両者譲らぬ闘いぶりに息をするのも忘れて釘付けになっている



隊士「……なんだあのチビ……」


隊士「……沖田先生と……互角……」



いや、と平助が言う



平助「……志乃さんは……それ以上の実力を持っている……。」




隊士「嘘だろ?!」


隊士「冗談きついですよ、藤堂先生……」






隊士たちの言うことはもっともだ。



あの華奢な志乃さんが、稽古の鬼と呼ばれ、数多の尊敬を集めている総司を上回るなんて。




─そう簡単に認められるはずが無い。





しかし、本当は気づいているんだ。





志乃さんの、あの恐ろしいほどの強さを。



爛々と放つ、その異様な程の眼光。




彼女の全てにおいて、圧倒的強さが滲みでている。





しかし、まだ隊士たちは気づいていない。





あれは……あの人は……。



平助「(……まだまだ本気ではない……)」



そうだ、あの人の目はまだまだ本気ではない



平助「(あの人の本気が見てみたい……)」



手加減をしていてもあの強さ


そんな凄い人が本気をだせば土方さんや近藤さん……それに芹沢さんにも勝ってしまうかもしれない……




平助「(凄いです……純粋に凄いと思います)」



その容姿からはとても想像できないくらい圧倒的な強さ


その動きは無駄がなく流れるように


そして息を呑むような美しさ



志乃の全ては、見たものを魅了する妖艷さがあった




開いた口が塞がらないとはまさにこのことなのだろう


平助「(この勝負……)」



─志乃さんが本気になったら終わる─。