志ーこころー 【前編】─完─



「こんにちは。お久しぶりですね、坂本さん。」





とても柔和な笑みを浮かべたお爺さんが、あたしたちの前にいた。




しかし、その目は鋭い眼光を放っていて、只者ではないことを物語る。



中岡はポカンと口を開けたまま、あたしは指を鼻の穴に突っ込んだまま、坂本さんはニコニコしたまま、そのお爺さんを見つめた。




「…話に聞いていたのは、そこのお嬢さんですかな?」




お爺さんが、あたしの目を捉えて、言った。




─ベシィッ!!




志乃「いったっ!!!」



後ろを振り返ると、中岡の蒼白な顔。



必死で何かを言おうと口をパクパクさせるものの、肝心の言葉はいっこうにでてこない。




え、なに??