ーそれはとても懐かしい僕の“キオク”ー


高校2年の冬、僕、宮村彩月(みやむら さつき)はつまらない高校生活に飽きて真っ暗な世界観を持ちながら過ごしていた。漫画、アニメ、ネット..すべてに飽きた。僕の家は世間から見るとお金持ちで、なんも支障無く生きてるだろうと思われてる..が、それは他のやつらの思い込みである。僕の両親は共働きで、あまり家に帰ってこないし、帰ってきても夫婦喧嘩をして、その度にイライラを僕に振ってくる。僕の母、宮村立夏(みやむら りっか)は僕にあらゆる期待を押し付けて、裏切らないように頑張っていた、けどある日小テストでミスをしたのを知られ、母は怒り狂い、その日から失望されている目で見られている。僕と両親との細い糸がプツンと切れた感覚だった。

僕に関心を失った両親は家政婦に任せっきりにして、お金だけ置きまた仕事へ向かう。僕はそのお金で学校に必要な物や、服、漫画、ゲーセン*ゲームセンターに使っている。真っ暗な世界にいて、なにもない僕になった。僕はせめての償いで、学業はちゃんとしている..いや、償いと言うのはおかしいな、単に“捨てられる”というのを恐怖に溺れているからだ。用無しの僕を生かしておいても費用はかかるし、問題を起こしたり飽きられたら捨てられるだろうと確信していたからだ。


僕はそんなつまらない生活を5年間も続けていると思うとなんて絶望的なんだとふと思う。僕は高校2年生であって、もうすぐ三学期は終わり、春休みに入り、そして3年生になる。3年生と言えば、進学、就職といっためんどくさいことばっかり押し付けられる学年だ、かといって、僕には全然関係ないし、ただただなんて幸せなんだと思う。なぜ“幸せ“かというと、他の奴らが悩み、考え込むからだ。そんなクラスメイト(他人)が苦しんでいるのをみると何か嬉しいんだ。


でもある日その輪廻は休止符をうった。


―三学期・終業式


今日は終業式か…と思いながらベッドから降り、部屋にある洗面所へと向かった。僕にとって学校はこの人生の暇を少しでも減らせることができる場所、だから春休みは来てほしくないぐらい嫌いだ。友達だっていないし、家に引きこもっていたら両親は絶対ちょっかいを出してくるだろう。