夕餉まで何をしていようかしら。

自分の少ない荷物に目を送る。

本でも読もみましょう。

そして本を読み始めた。

本を呼んでいるときは、幸せを感じる。

青葉はこの時間が好きだった。

「城崎さん」

ビクッ。

誰かが青葉を呼ぶ声に過剰に反応してしまった。

本に集中し過ぎていたのだ。

青葉は襖を開けた。

すると、藤堂という小柄な少年が立っていた。

「飯の時間だから迎えに来た」

そう言ってにぱっと笑う。

「ありがとうございます」

そう言い、先を歩く藤堂についていった。