『わら、う?』 青葉は戸惑った。 『あの、うち、いつも笑っているつもりどすぇ?』 今だって、口角が上がっているのが自分でも分かる。 『僕は、青葉の本物の笑顔が見たいんだ』 『本物の笑顔?』 目の前にいる男は、何を言っているのだ。 『青葉のそれは、愛想笑いだろう?』 愛想笑い? 笑顔に変わりはないだろう。 『愛想笑いと本物の笑顔は違うよ』 青葉の心を見透かしたように、栄助は目を伏せて言った。 『京都にいたころの青葉については、父からかいつまんで聞いたんだ』