それに、優しい栄助は青葉にとって、兄のような存在になっていた。 だから栄助の事を『栄さん』と呼び、慕っていたのだ。 『いいよ。ただ一つ、条件がある』 そんな栄助は、青葉にそう言った。 『条件?』 青葉は繰り返した。 まさか、それを理由に私を傷つけるのでは。 青葉は少し恐くなった。 『そう、条件だ』 栄助も繰り返す。 煮えを切らした青葉は聞いた。 『どんな条件どす?』 栄助は青葉の目をしっかりと見て言った。 『いつか、僕の前で笑ってくれ』