「山南様」

それは山南だった。

「いえ、何でもありません」

青葉は冷静になりつつ答える。

「そうですか」

すると突然山南は嬉しそうな顔をした。

「そういえば、城崎さんに借りた本を読んで、恋人に話してみたのですが、とても喜んでくれました。あなたのお陰です。ありがとう」

山南は本当に嬉しそうに話す。

「それはよかったです」

青葉も少し嬉しくなった。

「山南様は、本当に恋人の事が大好きなのですね」

青葉は山南に言った。

「いえ、まぁ、はい。愛しています」

山南はしどろもどろに答える。

それでさえも、相手をどれだけ大切に思っているかが伝わってくる。