その後山南は熱心に本を見ていた。

「城崎さんは、本当に沢山の本を持っているんですね」

感心した様子で山南が言う。

「本を読んでいるときは、とても幸せなんです」

「そうですか」

山南は青葉を見つめた。

「私は、本を読んでいる時も好きですが、本の内容を恋人に話している時は、もっと好きなんですよ」

「恋人?」

山南に恋人がいるとは、少し意外だった。

「恋人と言ってもいいのか分かりませんがね」

「?」

首を傾げる青葉に、山南は悲しそうに言った。

「遊女なんですよ。相手は」